水戸地方裁判所 昭和61年(わ)329号 判決 1986年7月23日
本店の所在地
茨城県結城郡石下町大字蔵持九〇〇番地
株式会社立正堂スナック菓子
(右代表者代表取締役 武藤則夫)
本店の所在地
茨城県結城郡石下町大字向石下字狐山九六〇番地
有限会社アップル・スパイス
(右代表者代表取締役 武藤則夫)
本籍並びに住居
茨城県結城郡石下町大字蔵持九〇〇番地
会社役員
武藤則夫
昭和一六年二月二四日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官坂井文雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社立正堂スナック菓子を罰金四五〇〇万円に、被告人有限会社アップル・スパイスを罰金七〇〇万円に、被告人武藤則夫を懲役二年にそれぞれ処する。
被告人武藤則夫に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社立正堂スナック菓子は、茨城県結城郡石下町大字蔵持九〇〇番地に本店を置き、菓子製造等を目的とする資本一、五〇〇万円の株式会社であり、被告会社有限会社アップル・スパイスは、茨城県結城郡石下町大字向石下狐山九六〇番地に本店を置き、香辛料の製造等を目的とする資本金九〇〇万円の有限会社であり、被告人武藤則夫は、被告両会社の代表取締役として両被告会社の業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人武藤則夫は、被告両会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入れなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和五六年五月一日から同五七年一月三一日までの事業年度における。被告株式会社立正堂スナック菓子の実際所得金額が九億七、二四九万九四二円であったにもかかわらず、同五七年三月三一日下館市大字二木成字稲荷塚八二三番地の二所在の下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八億七三六万八八〇円で、これに対する法人税額が三億三、八〇七万二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同被告会社の同事業年度における正規の法人税額四億七四二万六、五〇〇円との差額六、九三五万四、五〇〇円を免れ
第二 昭和五七年二月一日から同五八年一月三一日までの事業年度における、同被告会社の実際所得金額が三億四、四九九万九、一六七円であったにもかかわらず、同五八年三月三一日、前記下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億六、九七四万九、七五六円で、これに対する法人税額が一億一、二〇三万八、一〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同被告会社の同事業年度における正規の法人税額一億四、四一四万一、五〇〇円との差額三、二一〇万三、四〇〇円を免れ
第三 昭和五八年二月一日から同五九年一月三一日までの事業年度における、同被告会社の実際所得金額が三億五、一四三万七、二八一円であったにもかかわらず、同五九年三月二九日、前記下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億九、一七三万三、〇九七円で、これに対する法人税額が一億二、一二七万一、一〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同被告会社の同事業年度における正規の法人税額一億四、六三四万六、二〇〇円との差額二、五〇七万五、一〇〇円を免れ
第四 昭和五九年二月一日から同六〇年一月三一日までの事業年度における、同被告会社の実際の所得金額が三億四、〇一六万四、八七一円であったにもかかわらず、同六〇年三月三〇日、前記下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億四、八八七万四、八四一円で、これに対する法人税額が一億六四八万二、二〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同被告会社の同事業年度における正規の法人税額一億四、六〇〇万九、八〇〇円との差額三、九五二万七、六〇〇円を免れ
第五 昭和五八年八月一日から同五九年七月三一日までの事業年度における、被告有限会社アップル・スパイスの実際所得金額が九、五〇二万七、三六八円であったにもかかわらず、同五九年九月二九日下館市大字二木字稲荷塚八二三番地の二所在の下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、七〇七万八、七五八円で、これに対する法人税額が一、五〇七万九、七〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同被告会社の同事業年度における正規の法人税額四、〇一六万二、六〇〇円との差額二、五〇八万二、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一 被告人武藤則夫の当公判廷における供述
一 被告人武藤則夫の検察官に対する供述調書五通
一 飯島重夫の大蔵事務官に対する質問てん末書三通
一 検察事務官作成の電話聴取書二通
判示第一ないし第四の各事実につき
一 武藤米子の大蔵事務官に対する質問てん末書三通
一 下館税務署長作成の証明書(株式会社立正堂スナック菓子関係のもの)
一 大蔵事務官作成の材料仕入高調査書(昭和六〇年一一月二八日付)、包装費、包材費、梱包材料費調査書、運賃調査書、運送関係費調査書、燃料費(一般管理費)調査書、燃料費(製造原価)調査書、給料手当、事務員給与調査書、従業員賞与調査書、備品、消耗品費調査書、修繕費(一般管理費)調査書、修繕費(製造原価)調査書、事務用消耗品費調査書(同日付)、その他の販売費調査書、管理諸費調査書、支払手数料調査書(同日付)、手数料否認金調査書、支払手数料調査書(昭和六一年二月一四日付)、減価償却超過額調査書、受取利息、割引料調査書、価格変動準備金繰入調査書、価格変動準備金戻入調査書、有価証券売却益調査書、固定資産売却益調査書、固定資産売却損調査書(二通)、事業税認定損調査書
一 登記官作成の登記簿謄本
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の修正損益計算書(昭和六〇年一一月二八日付)、脱税額計算書(同月二九日付検四三号)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の修正損益計算書(昭和六一年二月一四日付検六号)、脱税額計算書(同日付検四四号)
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の修正損益計算書(同日付検七号)、脱税額計算書(同日付検四五号)
判示第四の事実につき
一 大蔵事務官作成の修正損益計算書(同日付検八号)、脱税額計算書(同日付検四六号)
判示第五の事実につき
一 大蔵事務官作成の修正損益計算書(昭和六〇年一一月二六日付)、材料仕入高調査書(同日付)、修繕費調査書、消耗品費調査書、支払手数料調査書(同日付)、事務用消耗品費調査書(同日付)、脱税額計算書(同月二九日付検四七号)
一 下館税務署長作成の証明書(有限会社アップル・スパイス関係のもの)
一 被告人武藤則夫作成の提出書(同会社の登記簿謄本添付のもの)
(法令の適用)
判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項(被告両会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告両会社については情状により、いずれも同法一五九条二項を適用し、被告人武藤則夫の各罪については所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人株式会社立正堂スナック菓子、同武藤則夫については刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人株式会社立正堂スナック菓子については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金四五〇〇万円に処し、被告人武藤則夫については同法四七条本文、一〇条により犯情最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において懲役二年に処し、被告人有限会社アップル・スパイスについては所定の金額の範囲内において罰金七〇〇万円に処し、被告人武藤則夫に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 竹重誠夫)